★こむら返りを繰り返されていて、夜も痛みで起きてしまう80代女性の相談事例

小畑

 

 

患者情報:83歳 女性

 

【問診】

<お悩み>

 

半年前当院に通っていた頃に比べ、最近はこむら返りが頻繁に起こるようになり、痛みのでる範囲も広がってきた

 

<患者様にお伺いしたこと>

 

Q,今までもこむら返りはよく起こっていましたか?

 

今までこむら返りはありましたが、頻度も少なかったです。

おまけに、痛みの範囲も足裏など限られていたのに、ここ最近は足から膝の下まで痛みが出るようになってきました。

 

Q,こむら返りはどれくらいの頻度で起こりますか?

 

ここ最近は、就寝していると3時間おきに一回ほどの頻度でこむら返りが起こります。

そして痛みが治まり、また眠りますが、また3時間後に痛みが出て起きる、という状態です。

 

 

Q,水分はしっかりとっていますか?

 

はい、水分は毎日2リットル以上取っています。

 

Q,腰に痛みはありますか?

 

いいえ、痛みなどはありません。

 

Q,今回の症状で病院にかかりましたか?

 

はい、以前、整形外科を受診してこむら返り用の薬をもらいましたが、症状に変化はありませんでした。

 

Q,これまでに大きな怪我や病気などをされたことはありますか?

 

椎間板ヘルニと言われたことがあります。その時は特に痛みなどはありませんでした。

 

Q,その他、何かお聞きしておくことはありますか?

 

以前、電気を当てていたところに発疹が出来ました。

 

【検査】

こむら返りの症状の原因を調べるため、詳しく検査を行いました。

 

<動きの検査>

 

・腰の動きの検査:

前屈の動作、後ろに反らせる動作ともに痛みや動きに問題はありませんでした。

 

・股関節の動き:

骨盤の後ろ側にある外旋筋の動きには問題はありませんでした。

骨盤の前側にある腸腰筋の動きは、正常な状態では45度動きますが、この患者様の場合、左右共に20度ほどの動きしかありませんでした。

 

<筋力の検査>

 

・長母指伸筋筋力テスト(MMT):

足の親指の筋力をみる検査では、左側の筋力が弱くなっていることが分かりました。

 

・SLRテスト:

仰向けになった状態で足を上上げてもらう検査では、通常上に70度以上上がったところでハリ感がでてくるのは正常ですが、この患者様の場合、左側を45度ほど上げたところでハリ感や重さが見られました。

 

【検査結果から分かること】

 

<症状の分類>

 

今回、こむら返りの原因としては、以前ヘルニアと診断されたことや、MMT検査という神経障害を疑う検査で異常が見られたことから、上半身を後ろに反らした際に痛み等の症状が増す後屈型の神経障害(おそらく、脊柱管狭窄症)が考えられます。

脊髄の中を走る神経に、飛び出すなどした椎間板が触れることで、こむら返りの症状が引き起こされていると考えられました。

 

<原因の分析>

 

脊髄の中を走る神経に椎間板が触れやすくなっている、という状態は、椎間板の圧が高くなり変形したことを意味します。

椎間板の圧が高くなっている原因としては、この患者様の場合、以下の流れが考えられます。

骨盤の前側にある腸腰筋の筋が硬いことで、それに関わる股関節の動きが悪くなります。

腰の回旋する動作や、前屈の動作は腰部だけの動きではなく、股関節の動きも必要になります。

しかし、股関節の動きが悪いと、動作を行う際に腰部の負担が増大してしまい、筋肉だけでなく背骨(腰椎)にも大きな負担がかかってきます。

そのため、背骨の中でクッションの役割をする椎間板にかかる圧力も高まりやすくなります。

また腸腰筋は腰椎から骨盤の前を通っている筋肉です。

単純にこの筋肉が硬く縮まるような形となることで、腰椎が圧迫されるような力が働いてしまい、椎間板にかかる圧が増える原因となります。

 

【施術計画】

 

<施術期間と頻度>

股関節の動きを改善する為、1ヶ月間、週に2回を提案しました。

 

<施術方針>

 

椎間板が神経に触れにくくするために、腰部で硬くなってしまっている筋肉に対する指圧を行います。

また、椎間板に圧を加える原因である腸腰筋をほぐして、股関節の動きを改善することも必要です。

電気療法は、以前発疹が出たということから、行わない方向です。

ホットパックを使って血流を改善する温熱療法は、緊張して硬くなっている腰部の筋に対して行っていきます。

 

【まとめ】

 

今回は、毎晩のこむら返りでお悩みの患者様の事例です。

こむら返りは、筋肉の疲労や、水分不足などでも起こりますが、このように頻繁に起こるのはやはり別の原因が考えられます。

この患者様の場合、検査などからおそらく脊柱管狭窄症だと思われますが、脊髄を走る神経に椎間板が触れることで神経症状としてこむら返りの症状が現れたと考えられました。

背骨に過剰な圧力がかかることで椎間板が変形して神経に触ってしまいますが、椎間板にかかる圧力を軽減しない限り症状は改善されません。

そのため、今回は腸腰筋という骨盤の前側を走る筋の硬さによって背骨に負担がかかり、また同じく筋の硬さによって股関節の動きも悪くなっていたことが背骨にかかる圧力の原因であったため、この腸腰筋の硬さを改善することが重要です。電気療法は患者様の不安もあるため、指圧施術を中心において、今後は根本からの改善を目指していきます。