★首、肩の張りが強く、1週間前から頭痛が発生している40代男性の相談事例

安田

 

 

患者情報:40代 男性

【問診】

<お悩み>

・首、肩の張りが強く、頭痛も出ている。

・腰を前に曲げると鈍い痛みがある。

 

<患者様からお伺いしたこと>

・首・肩について

 

Q,ハリなどの症状を感じる部分を教えて下さい。

 

首も肩も、左右どちらかと言えば右側に強い張りがあります。

右の肩甲骨にも重たさがあります。

 

Q,痛みはありますか?また、それはどんな時に出ますか?

 

首を左に回すと、右の首から肩にかけて突っ張るような痛みがでます。

 

Q,頭痛はいつからですか?

 

1週間前から、目の奥が痛くなるような頭痛があります。あと吐き気もまれに出ます。

 

Q,腕などにしびれの症状はありますか?

 

しびれはありません。

 

・腰について

 

Q,どのような動作で痛みが出ますか?

 

前に曲げる動作(前屈動作)で腰に鈍い痛みがでます。

座っていても痛みます。

 

Q,朝一で症状が辛いことはありますか?

特にありません。

 

Q,下半身にしびれや、足がつることはありますか?

 

どちらもありません。

 

Q,これまでに大きな怪我や病気をされたことはありますか?

 

中学生の時に柔道の授業で首のむち打ち症になりました。

他には、10年前に腰のヘルニアになっています。

 

Q,その際に整形外科や整骨院等で治療は受けられましたか?

 

腰のヘルニアは手術をしました。それ以外の治療は受けた事はありません。

 

【検査】

首、肩、腰の動きの検査、筋力検査、神経障害を調べる検査を行いました。

 

《上半身に関する検査》

<動きの検査>

・首の動きの検査:

首を前に倒す動作(前屈)と首を横に倒す動作(側屈)では首と肩をつなぐ両肩甲挙筋部に強い張りが出ました。

首を後ろに倒す動作(後屈)では首の後ろ側の板状筋部に鈍い痛みが出ました。

 

・肩の動きの検査:

右腕を前と外側に上げる動作では右の首から肩にかけての肩甲挙筋部に鈍い痛みが出ました。

腕を後ろに引く動作では問題はなく、左側にも問題はありませんでした。

 

・胸郭の動きの検査:

両腕を真横に伸ばして反対の手首を掴みに行くリーチング検査では、右側が肘ぐらいまでしか伸ばせず、動きの悪さが見られました。

 

<筋力検査>

・肩の外側の三角筋の筋力には問題はありませんでした。

・お腹の筋力は少し低下していました。

 

<その他の検査>

・首が前に飛び出た前方頭位と呼ばれるものと、肩が前に巻いた巻き肩と呼ばれる姿勢の悪さが見受けられました。

 

《腰に関する検査》

<動きの検査>

・腰の動きの検査:

腰を前に曲げる動作(前屈)では、曲げたところから戻す時に腰に痛みが出ました。

腰を後ろに反らす動作(後屈)では、動き出しで腰に痛みが出ました。

腰を横に倒す動作(側屈)では、動き出しで腰に突っ張り感が出ました。

 

・股関節の動きの検査:

股関節の前の筋肉(腸腰筋)の動きのテストでは、正常であれば45度ほど動くところ、この患者様は右が20度、左が25度ほどの動きしかなく、股関節の硬さが見られました。

股関節の後ろ側の筋肉(外旋筋群)の動きのテストでは、こちらも正常であれば45度ほどの動きがあるのに対して、右が20度、左が25度の動きしかありませんでした。

 

<神経症状を調べる検査>

 

仰向けの姿勢から股関節を屈曲させていく検査(SLRテスト)を行いましたが、左側に抵抗感があり、左の検査時に左の太もも裏(ハムストリングス)に張っている感覚が見られました。

 

<筋力検査>

・足の親指の筋力には問題はありませんでした。

・お尻の筋力の低下が見受けられました。

 

<その他の検査>

・尻上り現象が見られた為、骨盤周りの腸腰靱帯と呼ばれる靱帯の滑走が悪くなっていると考えられました。

 

 

【検査結果から分かること】

 

<首・肩痛の分類>

首、肩の痛みの原因としては、肩甲骨まで重たさが出ている事を考慮して、頚椎に問題がある頚椎症を疑いました。

 

<腰痛の分類>

腰の痛みの原因としては、神経障害を調べる検査での結果を考慮して、腰椎の椎間板に問題がある椎間板性腰痛症を疑いました。

 

<頚椎症、椎間板性腰痛症の原因は?>

この患者様は船の整備士をされており、狭いスペースで身を屈めて移動する、低い位置へ顔を下げながら整備を行うなど、普通ではあまりない姿勢にして作業をする事が多いそうです。

さらに昔、事故に遭った際に首のむち打ち症になったことで、首がまっすぐに伸びてしまうストレートネック気味になっている事と、巻き肩姿勢になっている事が首への負担を強くさせていると考えられました。

さらに肩甲骨の動きが非常に悪い事も、肩の症状の原因となっています。

以上の機能障害が災いし、首・肩の筋肉が緊張することで、頭痛も起こってしまったと考えられます。

 

腰に関しては、股関節の動きが非常に悪い為、仕事中の身体を屈める動作を行う際に、股関節の動きをかばう形で腰の負担が強くなっている事により、腰椎への負荷が強くなっていると考えられました。

 

【施術計画】

 

<施術方針>

患部の指圧治療に加えて、肩甲骨の動きを良くする為に肩周辺の筋肉である前鋸筋、小胸筋を緩めます。

また、首の負担を減らす為に首の横側の斜角筋を、股関節の動きを良くする為に股関節周辺の筋肉である腸腰筋、外旋筋群を緩める施術を行い、各部の動きを改善させていきます。

 

<施術の目標設定>

頭痛、腰痛が無く仕事に打ち込める状態にします。

 

<施術期間、頻度>

次回の航海に出発するまでに2週間しか期間が確保できなかった為、2週間ほぼ毎日来院するようお伝えしました。

 

【経過】

合計6回の治療において、肩甲骨の動きがほぼ正常に改善し、股関節の動きも正常範囲の45度まで改善が見られました。

1番気にされていた首、肩の筋が緊張していることからくる頭痛も完全になくなり、腰の痛みもほぼなくなりましたので、施術を終えました。

 

【まとめ】

今回の患者様は首・肩の痛みと腰の痛みという全身のお悩みで来院されました。

首・肩の症状は船の整備士という仕事上、特殊な体勢での作業が多いことで首に負担がかかり、更に過去の事故の影響で首の自然なカーブがなくなるストレートネック気味であったことや巻き肩という姿勢の悪さで首に過剰な負担をかけてしまう環境にありました。

その上肩甲骨の動きが非常に悪かったことで、余計に負担がかかり、頚椎の中の椎間板が変形し症状が出ていました。

また腰痛に関しても、仕事上での体勢の負担に加えて股関節の動きが非常に悪く、背骨に過剰な負担がかかったことで腰椎の椎間板を痛めてしまい症状が出ていました。

今回の施術では期間が限られていたこともあり、頚椎、腰椎に負担をかける原因となった肩甲骨の動きと股関節の動きを改善し、痛みを取り除くことに重点を置きました。

結果ほぼ痛みはなくなり、動きも改善して無事に施術を完了することが出来ました。