★腰だけでなく、お尻、足にも痺れが広がってきた70代男性の相談事例

安田

 

 

 

患者情報:70歳 男性

 

【問診】

<お悩み>

・以前から腰が気になっていたが、1ヶ月前から腰から左太ももの外側に痛みが出てきた。

 

<患者様からお伺いしたこと>

Q,痛みの種類はどういったものですか?

 

痛みの種類としては、もやっとした痛みです。

 

Q,痛みのほかに、しびれなどの症状はありますか?

 

2日前からふくらはぎまで痺れが出てきています。

足が痙攣する事もあります。

 

 

Q,痛みが増す動作はありますか?

 

座っていると症状が落ち着きますが、歩く時や立ち上がる時に痛みが増します。

他には、腰を後ろに反らすと痛みが増します。

 

Q,ぎっくり腰になったことはありますか?

 

ぎっくり腰になった事はありません。

 

Q,仕事での作業はどういったものですか?

 

仕事はデスクワークが多いですが、立ったり座ったりを頻繁に繰り返します。

 

Q,これまでに整形外科等を受診されたことはありますか?

整形外科に行きました。

MRIで画像検査を行い、脊柱管(背骨の中心にある神経の通り道)が狭いと言われましたが、手術は不必要と伝えられ、注射、湿布を処方されました。

ただ、あまり効果はありませんでした。

 

【検査】

腰に症状が出ていますので、腰の動き、神経症状の検査を詳しく行いました。

 

<動きの検査>

 

・腰の動きの検査:

前屈の動作と、体を横に倒した動作で、動き出しに左の腰にもやっとした痛みが出ました。

後ろに反らす動作では、問診ではこの動きで痛みが増すとの訴えがありましたが、今回の検査では痛みがなく、動きも問題ありませんでした。

 

・股関節の動きの検査:

 

股関節の前側の筋肉(腸腰筋)の動きは、正常であれば45度ほど開きます。しかし、この患者様の場合、左股関節が30度、右股関節が20度ほどの開きしかなかった為に、筋肉がかなり緊張して硬くなっていることが考えられました。

また、外旋筋郡と呼ばれる、こちらも股関節の動きに関与する筋肉の動きの検査を行いましたが、正常であれば股関節は45度ほど開くのに対して、右股関節が35度ほどの開きしかありませんでした。左股関節に関しては動きに問題はありませんでした。

 

・骨盤の動きの検査:

座っている時に骨盤が後ろに倒れやすくなっており、前には動きにくい状態でした。

 

<神経症状のテスト>

 

・足を伸ばした状態で徐々に股関節を曲げていくSLRテストと呼ばれる神経障害を調べる検査を行いましたが、異常はありませんでした。

 

<筋力テスト>

 

・足の親指に負荷をかけて筋力を調べるテストを行いましたが、身体を反らした際に、左足の親指の力が弱くなっていることがわかりました。

 

・片足立ちになってお尻の筋力を計る検査では、左足での片足立ちが困難な状態でした。

・またもう一種類、お尻の筋肉(大殿筋)の筋力テストを行いましたが、著しい筋力低下が見受けられました。

 

【検査結果から分かること】

 

<腰痛の分類>

 

今回の症状は単純に腰のみに痛みがある訳ではなく、お尻、太もも、ふくらはぎにまで痺れ、痛みが広がっていました。

この症状に加えて、

・歩いていると痛みが出ること

・腰を後ろに反らすと痛みがあること

・身体を反らした時に左足の親指の筋力が低下したこと

・患者の年齢が70代に突入していること

以上の点から、今回の症状は脊柱管狭窄症(背骨の中心を通る神経の通り道が狭くなることで神経を圧迫してしまう状態)から症状が出ている可能性があると判断しました。

この患者様の場合、ふくらはぎにまで神経症状が出てしまっている為、しびれを完全に感じない状態にすることは難しい状況にあります。

 

<脊柱管狭窄症の原因の分析>

 

脊柱管狭窄症(以下、狭窄症)の疑いはありますが、これだけが問題で今回の症状を引き起こしているわけではありません。

検査の結果、インナーユニットと呼ばれるお腹の深部の筋肉やお尻の筋肉といった、骨盤を支える役目を担っている筋肉の筋力が低下してしまい、骨盤が不安定になることにより、狭窄症の神経圧迫を強めてしまっていると考えられました。

 

さらに、股関節の動きの悪さも見受けられました。

そもそも身体を前や後ろに傾ける動作では腰、股関節、骨盤がそれぞれ連動して動くことにより1ヶ所への負荷を分散させています。

今回の場合、股関節の動きが悪いことと、筋力の無さゆえ骨盤が不安定になってしまっていることから、仕事中に立ったり座ったりの動作を繰り返すことで腰に過度な負荷がかかってしまっていると考えられました。

 

【施術計画】

 

<施術方針>

 

まずは腰の痛みを抑える事を重要視し、患部への指圧、電流施術を行います。

それと並行して、腸腰筋の呼ばれる股関節の前側の筋肉の硬さを改善させ(リリース)、股関節の動きを良くしていきます。

痛みが抑えられてくれば、深部の筋肉であるインナーユニットとお尻の筋を安定させる為にEMS(電気施術)を用いて筋力を上げる事に焦点を置きます。

筋力を上げることで、骨盤の不安定な状態を改善させ、腰へかかる負荷を軽減していきます。

 

<施術の目標設定>

 

股関節の動きを改善させ、インナーユニットとお尻の筋力を安定させることで日常生活において症状が気にならないくらいまでのレベルを目標にします。

 

<施術期間、頻度>

 

3ヶ月、週2回の通院ペースでの施術を提案しました。

 

【まとめ】

 

今回の患者様は以前から腰が気になっていたものの、急激に痛みやしびれの症状が増したことで来院されました。

整形外科でも診断されていましたが、今回の検査結果からも脊柱管狭窄症による痛みやしびれであると判断出来ました。

しかし、脊柱管狭窄症=痛み、という訳ではなく、股関節の動きが悪く、骨盤周りの筋力が低下していることに加え、更に仕事中での腰に負担のかかる動作が多かったことで、神経を圧迫してしまう負荷が過剰に腰にかかって症状が出たと考えられました。

そのため、痛みを直接抑えていく施術だけではなく、原因でもある股関節や骨盤の問題を解決していかなければ症状はすぐにぶり返してしまいます。

指圧と電気施術により、動きの改善と筋力の獲得をしていくことで、症状は軽減できるものと考え、今後も経過を見守りつつ施術を進めていきます。