産後すぐから腰に鈍痛があり、子供を抱き上げる動作が辛い30代女性の相談事例

安田

 

患者情報:30代 女性(看護師→育休中)

 

【問診】

<お悩み>

痛みで泣く母親

産後から腰(どちらかと言えば右側)に痛みが出ている。

 

<問診でお伺いしたこと>

Q,痛みはいつからですか?

 

産後すぐから腰に鈍痛が出ました。

 

Q, どんな動作で痛みが増しますか?

 

1日に何度も行う、子供を抱き上げる動作や、家事で前屈みになる動作で痛みが増します。

 

あとは、仰向けで寝ていても腰の痛みは増します。

 

Q,産後何か月ですか?

 

二人目の産後3ヵ月です。

 

Q,お一人目の産後は腰の痛みはありましたか?

 

1人目の出産後はこのような痛みはありませんでした。

 

Q,痛みのほかに、気になることはありますか?

 

2人目出産後、体重が8kg戻らず、ズボンが履き辛いです。

 

Q, 朝一に痛みが増したり、しびれや足がつることなどはありますか?

 

どれも特に思い当たりません。

 

Q, これまでに整形外科や整骨院等で治療を受けられたことはありますか?

 

一度もありません。

 

【検査】

腰に痛みが出ている為、下半身の動きの検査、神経障害を調べる検査を行いました。

 

<動きの検査>

腰の動きの検査

腰を前に倒す動作(前屈)、後ろに反らす動作(後屈)、腰を右側に倒す動作(右側屈)で右の腰に鈍い痛みが現れました。

 

股関節の動き

股関節の前側にある筋肉(腸腰筋)の動きの検査を行いましたが、本来であれば45度ほど開く股関節が今回の患者様の場合、左:30度ほどの開きしかありませんでした。右側の動きは問題ありませんでした。

 

股関節の後ろ側の筋肉(外旋筋群)の動きは、問題ありませんでした。

 

<神経障害を調べる検査>

・仰向け姿勢から足を上げて抵抗感を見る検査(SLRテスト)を行いましたが、問題ありませんでした。

 

<筋力検査>

・足の親指の筋力検査を行いましたが、問題ありませんでした。

 

・お尻の筋肉の筋力が低下していました。

 

・お腹の深い部分の筋肉(インナーユニット)の筋力が低下していました。

 

【その他の検査】

・仙腸関節に圧迫を加える検査(ニュートンテスト)を行ったところ、両方の腰に痛みが出ました。

 

・座っている姿勢で、骨盤が後ろに倒れやすくなっていました。

 

【検査結果からわかること】

筋筋膜性腰痛症の説明

<腰痛の分類>

今回の患者様の痛みの原因としては、「筋筋膜性腰痛症」と「仙腸関節性腰痛症」の合併と判断しました。

 

<腰痛の原因の分析>

患者様は寝ているお子様を抱き上げる際の前屈動作を1日に何度も繰り返されています。

 

身体の前屈動作において股関節の動きが悪い分、腰がその代わりとなって負担を負っていました。

 

さらに、お子様を妊娠されていたことでお腹の筋肉(インナーユニット)の筋力が低下し、仙腸関節が開いてしまっていました。

 

この仙腸関節が開いたことで骨盤の動きも悪くなってしまいます。

 

そのため、身体の屈伸動作において腰が股関節だけでなく骨盤の動きの悪さも補うように過剰な負担がかかっている状態となり、今回の痛みが出たと考えられました。

 

【施術計画】

<施術方針>

患部への指圧に加えて、股関節の動きを良くする為に腸腰筋の硬さをとる指圧を行います。

 

さらに仙腸関節を閉じさせていく為にお腹の深部の筋肉であるインナーユニットの筋力をつけていく必要があります。

 

<施術の目標>

股関節の動きの悪さ、インナーユニットの筋力低下を改善させ、これからも続く育児での、腰の痛みによるストレスを無くしていく。

 

<施術期間>

3ヵ月間、週2回の通院ペースでの施術を提案しました。

 

【施術経過】

腸腰筋 指圧

4回目の施術終了後:院からの帰宅後には腰の痛みが元に戻ってしまい、左の股関節の動きもなかなか改善が見られませんでした。

 

5回目施術終了後:痛みが戻ることなく軽減したような状態が見られました。

 

6回目施術終了後:腸腰筋に対する指圧施術を繰り返したことにより、左の股関節の動きが正常範囲の45度まで広がっていました。

 

現在、12回目の治療にて腰の痛みは初診時の痛みの度合いを10とすると、10→2までかなり改善されています。

 

また股関節の動きも正常範囲を保持出来ている為、今後はインナーユニットの筋力の安定に焦点を置いて施術を継続していきます。

 

【まとめ】

今回は産後の腰の痛みでお悩みの患者様です。

 

二人目の産後すぐからの痛みということでしたが、詳しく検査した結果、痛みの原因が「筋筋膜性腰痛症」と「仙腸関節性腰痛症」の二つの合併によるものであると考えられました。

 

「筋筋膜性腰痛症」は、腰を支える筋肉に過剰な負担がかかり、筋肉が凝り固まってしまうことで痛みを引き起こす腰痛です。

 

「仙腸関節性腰痛症」は、背骨と骨盤を繋ぐ仙腸関節に問題が起こることで発生する腰痛を言います。

 

この患者様の場合、妊娠によってお腹の筋力が失われたために仙腸関節が広がってしまい、骨盤の動きが悪くなっていました。

 

これに加えて股関節の動きも悪かったことで、腰がその分の働きを一気に引き受けてしまっている状態でした。

 

施術では、筋の硬さをほぐし、痛みを直接抑えていくことに加え、骨盤と股関節の動きの改善を行いました。

 

その後、痛みはほぼ感じない状態にまで落ち着き、股関節の動きも正常範囲へと改善が見られました。

 

今後はお腹の深部の筋力をつけていき骨盤の動きを改善することで、継続する育児にストレスなく向き合える体作りをお手伝いしていきます。