動作の切り替え時に腰に痛みが出るようになった60代男性の改善事例

小畑

 

患者情報:66歳 男性

 

【問診】

<お悩み>

腰痛 シニア男性

1週間前から動作の切り替え時に腰に痛みが出るようになった。

 

<患者様にお伺いしたこと>

Q,腰の痛みはいつ頃からですか?

 

一週間前に、仕事で荷物を仕分ける動作で腰を捻り、その時から痛みが出るようになりました。

 

Q,朝一番で痛みが増したり、しびれの症状はありますか?

 

朝が一番痛いだとかシビレは特にありません。

 

Q,どのような動作で痛みが増しますか?

 

今でも仕分ける動作が一番痛く感じます。

 

他には、ドライバーもしており運転時に座っている姿勢でも少し痛いです。

 

立ち上がる時にも腰に痛みが出ます。

 

Q,痛む場所を教えて下さい。

 

痛む場所は、腰の両側痛みますが、どちらかというと左側(腰方形筋辺り)が痛いです。

 

Q,楽な姿勢などはありますか?

 

楽な姿勢は、じっとして腰を動かさない姿勢です。

 

お風呂に入るとましになります。

 

【検査】

腰の痛みの原因を調べるために、詳しく検査を行いました。

 

<動きの検査>

腰の動きの検査

前屈の動作では、70度ほど曲げたところで痛みが出ました。

 

後屈の動作では痛みはありませんでした。

 

左に上半身を倒した動作では、右のほうに痛みとハリ感が出ました。

 

右に上半身を倒した際は、左の方に同じく痛みとハリ感が出ました。

股関節の動き

股関節の前側の筋肉である腸腰筋の動きを見る検査では、左右共に20度ほどしか動かず、筋肉の緊張が見られました。

 

股関節の後ろ側の筋肉である外旋筋の動きには問題はありませんでした。

 

<筋力テスト>

大殿筋テスト

左側の筋肉の動きに異常が見られました。

 

本来、足を動かす動作は、お尻の筋肉が動く→動かした足と反対側の腰の筋が動く→動かした足と同側の腰の筋が動く、という流れで行われます。

 

しかし、お尻の筋肉が上手く動かずに代わりに腰の筋肉が動いてしまうと、腰にかかる負担は増大してしまいます。

 

また、動かした足と同じ側の筋だけでこの流れを行うと、更に負担は増します。

 

この患者様の場合も、左側の筋肉の動きがこの腰に非常に負担をかけるものになっていました。

 

<神経テスト>

神経障害を調べる検査を二種類行いましたが、特に異常はみられませんでした。

 

【検査結果から分かること】

筋膜性腰痛 説明

<腰痛の分類>

今回の患者様の場合、神経障害を調べる検査で異常がなかったこと、前屈時の筋肉を伸ばした時に痛みが出ることや、また、腰を左右に倒した際に引っ張られる筋肉の反対側の筋に痛みが出たことから(例えば右に倒した時に左の腰の筋が痛くなる事)、筋―筋膜性腰痛の可能性が高いと考えられました。

 

<筋―筋膜性腰痛の原因の分析>

患者様は、仕事上、座っている姿勢や腰を回旋する動きが多いことから、股関節の前側の筋である腸腰筋が硬くなりやすい状態であると言えます。

 

この腸腰筋が硬くなると、股関節の動きも悪くなります。

 

本来、腰を回旋する動きはほとんど股関節で担っていますが、股関節の動きが悪くなっていると、腰が代わりになって無理に回旋することとなり、腰の負担が増大します。

 

今回の患者様も、腰が股関節の代わりに無理に回旋し続けた結果、痛みが出たと考えられました。

 

【施術計画】

腸腰筋 指圧

<施術方針>

施術に関しては、お尻の筋力低下は見られましたが、股関節の動きを改善することがまずは優先されます。

 

指圧施術により、緊張して硬くなっている腰の筋肉部分(腰方形筋や起立筋)と、股関節の動きをよくするために股関節の前側の筋肉(腸腰筋)を正常な状態へ戻していきます。

 

電気療法では、まずは痛みを抑制していく為、腰部に当てていきます。更に痛みが引いてきたら、股関節の動きを良くするために腸腰筋にたいして刺激を与えていきます。

 

<施術期間>

痛みを抑えていくだけなら一ヶ月の期間、股関節の動きを改善するなら二ヵ月の期間での施術を提案しました。

 

【施術のゴール設定】

まずは痛みを抑え、その後股関節の動きの改善まで進めるかを相談していきます。

 

【施術経過】

初回施術後

痛みが少し緩和されました。

 

3回目施術時

激痛がかなり収まってきました。座っている姿勢でも痛みが軽減されてきました。

 

5回目施術時

日常で痛みをほとんど感じないようになりました。

 

8回目施術時

今後、痛みが再発しないように股関節の動きなどの根本原因の改善も目指すことになり、再度動きの検査を行いました。

 

腰は、痛みは感じませんが、重たい感じがありました。

 

これからは股関節の動きの改善のために腸腰筋の筋肉に手技での施術を行い、お尻の筋肉である大殿筋に電気施術による刺激を与え、筋力をつけていきます。

 

12回目施術時

股関節の前側(腸腰筋)の動きが初診時の20度から35度に改善しました。

 

腰の重さは多少感じますが、仕分け作業の回旋動作でしんどさは感じない状態になりました。

 

16回目施術時

腸の動きは正常範囲の45度まで改善されました。

 

足を動かす動作も、まだお尻の筋肉が先に動く正常な流れにまでは至っていませんが、動かした足と反対側の筋が先に動くようになりました。

 

そのため、今回で施術を終了しました。

 

【まとめ】

今回の患者様は腰の強い痛みを訴え、来院されました。

 

そもそも痛みだしたきっかけも仕事の作業で腰を回旋させてことでしたが、普段から仕事で腰を回旋させたり、座ったりと腰に負担がかかりやすい環境にありました。

 

検査結果からは、股関節の前側にある腸腰筋が硬くなり、股関節の動きが悪くなっており、またお尻の筋肉の使い方も悪く、足を動かす際もお尻の代わりに腰が働いている状態でした。

 

これらのことで腰には過剰な負担がかかっていると考えられました。

 

痛み自体は、働きすぎた筋肉の緊張が原因で発生しましたが、今後も痛みが再発しないためには、股関節の動きやお尻の筋肉の使い方も改善していく必要がありました。

 

今回の患者様とは相談の上、腰の痛みが落ち着き始めたころ、それらの改善も視野に入れて施術を進めることになりました。

 

硬くなってしまった腸腰筋をほぐし、お尻の筋肉の筋力もしっかりとつけていくことで、負担がかかる動作でも痛みが出ることはなくなり、計16回の施術で無事に終了することが出来ました。