★陸上を始め、太もも裏と腰を痛めた10代男性の相談事例

小畑

患者情報:16歳 男性

 

【問診】

<お悩み>

右太ももの裏が肉離れを起こしたことと、腰の痛み

 

<患者様からお伺いしたこと>

《右太ももについて》

 

Q,痛みはいつからですか?

 

3日前、陸上の練習で走っている時に、急にピキッとした痛みがありました。

 

Q,この三日間で痛みに変化はありましたか?

 

痛めてから2日間は、走っていても、歩いていても、何もしていなくても痛みがある状態でした。

3日目からは、走ったら痛みはありましたが、それ以外は大丈夫になりました。

 

Q,一番痛みを感じた時の痛みの度合いを10としたなら、今はどれくらいですか?

 

 

痛みの度合いは、10から7くらいに減っています。

 

Q,練習量はどれくらいですか?

 

数カ月前から陸上の練習をし始め、練習時間は約3時間、短い時は90分くらいを毎日繰り返していました。

 

Q,痛みのある部分を具体的に教えて下さい。

 

痛むところは、右太ももの内側で、足の付け根に近いところに一番痛みがあります。

 

《腰について》

Q,腰の痛みはいつ頃からですか?

 

陸上を始める前は、サッカーをしていました。腰にはその時から違和感がありました。

また、数カ月前に陸上の試合があり、走る練習中に左腰に痛みを感じました。

 

Q,腰の痛みはどの部分にありますか?

 

腰の痛みは左の骨盤から上5cmくらいのところに痛みがありました。

 

Q,痛みが出る動作はありますか?

 

痛む動作は、右足を上に足を組んだ時、体の後ろへ伸ばした時に痛みがありました。

また、足を痛めて走れなかったので、高跳びの背面飛びをしたのですが、それで腰を反らした時が一番痛かみを感じました。

 

Q,腰の痛みはどういう種類の痛みですか?

 

左腰はズーンとした痛みです。

 

Q,朝一番で痛みが増すことや、しびれの症状がありますか?

 

どちらも特にありません。

 

Q,太ももや腰の痛みで整形外科等へ受診されましたか?

 

いいえ、受診していません。

 

【検査】

太ももの裏や腰の痛みに動きによる差があるのか、また、太もも裏や腰を痛めた原因を調べるため、以下の検査を行いました。

(今回はどの辺りまで動くかをみるために、多少痛みが出る動作も行ってもらいました。)

 

<動きの検査>

 

・腰の動きの検査:

体を前に倒した時に左腰(腰方形筋)に痛みが出ました。

体を後ろに反らした時、右に体を傾けた時も同様に痛みが出ました。

 

 

・股関節の動きの検査:

股関節を捻る動作に問題はなく、動きは正常でした。

SLRテストと言われる、仰向けで膝を伸ばしたまま足を上げていく動作を行ってもらう検査では、30°上げたところで太もも裏(ハムストリング)に痛みが出ました。(通常は70~90°で痛みが出ます)

 

<神経症状の検査>

 

神経症状の検査を2種類行いましたが、一つは問題ありませんでした。

もう一つは太もも裏の痛みのため、正常に検査を行うことができませんでした。

 

<筋力テスト>

 

・インナーマッスルの筋力検査:お腹の奥のインナーマッスルといわれる筋力は正常でした。

・お尻の筋力検査:若干筋力の弱さはありましたが、特に問題はありませんでした。

・太もも裏(ハムストリング)の筋力検査:うつ伏せで膝を90°まで曲げ、蹴るように膝を伸ばしながら抵抗を加えるテストを行った結果、筋損傷が強ければ痛みが大きく出ますが、特に痛みは出ませんでした。

 

【検査結果からわかること】

 

<腰・太もも裏の痛みの分類>

 

今回、一番のお悩みであった太もも裏の症状は、機能障害と呼ばれる股関節の動きの悪さ、お腹の筋力の弱さなどはみられませんでした。

そこで、痛めた際の動きから考えたところ、太もも裏(ハムストリング)の「overuse」(使いすぎ)による筋の損傷と判断しました。

また、腰も同様に機能障害はみられないので、以前されていたサッカーでのシュート動作による、体の前後屈などの動作の繰り返しによる「overuse」(使いすぎ)と考えられました。

 

【痛みの原因の分析】

 

太もも裏の痛みは単純に走った時に筋肉が伸ばされすぎて出たものと考えられ、また腰の方も神経障害を調べる検査等にも問題は見られなかったため、筋肉による痛みが原因としては大きいと判断しました。

しかし、筋肉は基本、伸ばすことで痛みが出るもので、前屈や腰を左右に倒す動作で痛みが出ることはあっても、後ろに反らす動作で痛みが出ることはあまり考えられません。

そのため、椎間関節と呼ばれる筋肉以外が原因となって痛みが起こっている可能性も否定できません。

 

【施術計画】

 

<施術方針>

痛みの出ている原因となる、体の機能障害(筋力の弱さや関節の動きの悪さなど)はありませんので、痛みの出ている筋肉をピンポイントで施術を行っていきます。

痛みのために緊張して硬くなっている筋を緩めていくのが、腰にも太もも裏にも一番良い方法と言えます。

 

<施術のゴール設定>

痛みの出る前の体に戻すことを目標にしました。

 

<施術期間と頻度>

太もも裏の痛みは、1~2回の治療で痛みを和らげるのは可能であることをお伝えしました。

ただ、腰に関しては太ももの痛みのため詳しく検査ができなかったため、太もも裏の痛みが和らいだ時に、再度検査を行うことにしました。

 

【施術経過】

 

太もも裏の動きは、正常に近い70°近くまで動きが戻っていました。

腰の痛みは、最初の痛みの度合いを10とすれば、10→5へと半減しました。

 

【まとめ】

 

今回の患者様は、陸上の練習中に太もも裏に激しい痛みが起こったことと、それまでにも腰に痛みを抱えておられたことで来院されました。

動きや神経症状を調べる検査等を行ったところ、太もも裏に関しては練習による筋肉の使い過ぎによる症状と判断出来ました。

また、腰に関しても陸上やサッカーといった腰に大きく負担がかかるスポーツによる筋肉の使い過ぎによるものと考えられましたが、椎間関節という背骨に関わる部分にも痛みの原因がある可能性も若干考えられましたので、今後経過を観察していきます。

施術としては、体のそもそもの機能に大きな問題は見られませんでしたので、筋肉の硬さを和らげていくことに集中して行い、経過も順調に進んでいます。