仕事中に肩と首が重たい状態が10年以上続いている30代男性の相談事例

患者情報:31歳 男性

【問診】

<お悩み>

 

肩の傷み

 

肩と首の重さ、頭痛も出ている。

 

<患者様からお伺いしたこと>

 

Q,いつ頃からのお悩みですか?

 

10年前から肩と首が重く、悩んでいます。

 

Q,どんな時に一番つらいですか?

 

デスクワークでの仕事中が特に辛いです。

 

Q,肩と首の重さ以外の症状はどういったものですか?

 

目が疲れやすく、頭の後ろ側(後頭部)と横側(側頭部)に頭痛が出ます。

 

あと首を回すとボキボキと音が鳴ります。

 

他には、 肩甲骨の内側にも時々しんどさが出ます。

 

Q,腕などにしびれの症状はありますか?

 

右腕と手の先に、痛みのような、痺れのような感覚があります。

 

Q,仕事は特にどんな姿勢が多いですか?

 

仕事はデスクワークが多いです、もう十年以上続けています。

 

Q,姿勢の問題で気になることはありますか?

 

自分で猫背と自覚しています。

 

Q,これまで、整形外科等へ行かれましたか?

 

いえ、一度もありません。

 

【検査】

 

肩甲骨

 

首、肩に症状が出ていますので、首、肩の動き、神経症状の検査を行いました。

 

<動きの検査>

首の動きの検査

頭を下げる動きにも問題なく、痛みもありませんでした。

 

頭を上に向ける動作では、肩甲骨を引き上げる筋肉(肩甲挙筋)にピリッとした痛みが発生しましたが、首の後ろ側から圧迫を加えて動かした所、痛みが軽減しました。

 

頭を左右横に倒した際、また頭をぐるりと回した際には、上を向いた時と同じ痛みが出現しました。

 

肩関節の動きの検査

腕を前に上げる動作、横に上げる動作に問題はありませんでした。

 

腕を後ろに引く動作では、肩甲骨を引き上げる筋肉(肩甲挙筋)に痛みが出ました。

 

骨盤の動きの検査

座っている時に、骨盤が後ろに倒れやすくなっていますが、前には動き辛い状態でした。

 

<神経症状のテスト>

肩を動かす筋肉(三角筋)の筋力テストに問題が無かった為、実施しておりません。

 

<筋力テスト>

肩を動かす筋肉である三角筋の筋力テストをしましたが、問題ありませんでした。

 

<その他のテスト>

・肩甲骨の動きが著しく悪い状態でした。

 

・胸の深部の筋肉である小胸筋がかなり硬くなっていました。

 

【検査結果からわかること】

<首、肩痛の分類>

今回の症状の特徴は、急に出てきた痛みではなく、数年前から抱えている慢性的な痛みです。

 

首、肩の慢性的な症状は、長年デスクワークに勤めている方に非常に多く見られます。

 

痛みの分類としては、筋肉が緊張して硬くなってしまう事により痛みを引き起こしてしまっている筋膜性の痛みのパターンが当てはまります。

 

しかし、首を後ろに反らした時に、肩の筋肉へ痛みが発生すること、首の後ろから圧迫を加えた時に症状が緩和すること(※)、また肩甲骨の内側の筋肉にしんどさがあるといった点を考慮すると、頚椎の中でクッションの役割を持つ椎間板にも問題があるのではと疑いました。

 

(※)圧迫を加えて頚椎にかかる負担を軽減した上で、動きや痛みの検査を行います。その際、頚椎にかかる負担を減らしても痛みが変わらない場合は筋膜性の原因が疑われ、痛みが軽減する場合は椎間板性の原因が疑われます。

 

<痛みや重さの原因は?>

この方の症状を引き起こしている一番の原因としては、仕事中の姿勢が悪いことにあると考えられました。

 

パソコン業務が中心となるデスクワークを十年ほど続けられていて、仕事中は常にパソコンを覗き込むような姿勢が続くということです。

 

パソコンを覗き込むような姿勢とは、首が前に飛び出たいわゆるストレートネックと呼ばれる姿勢であり、さらに肩が身体の前側を巻き込むような巻き肩と呼ばれる姿勢になります。

 

今回のこの患者様の場合は、この2つの姿勢が著明に見られました。

 

ストレートネック、巻き肩が身体に及ぼす影響としては、首に過剰な負担をかけてしまう、肩甲骨の動きが悪くなるといったものがあります。

 

通常の姿勢であれば、首は頭の重さを十分に支えられる強さを持ちますが、首が前に出ることで頭の重さが何倍にもなって首へかかってきます。

 

この状態を仕事中、また日常の姿勢として過ごしてしまうと、首は常に悲鳴を上げている状態です。

 

このように、この患者様の首と肩の重さや痛みは、長年の仕事中の姿勢の悪さから、その悪い姿勢が身体に沁みついてしまったことが1番の原因と考えられました。

 

【治療計画】

 

伸びをするビジネスマン

 

<治療方針>

患部に治療を加えたとしても、仕事中の姿勢不良が改善されない限りはその場しのぎの治療になってしまいますので、腕の指圧に加え、胸の筋肉(小胸筋)の機能を正常に戻し、巻き肩を緩和させていく事が重要です。

 

さらに猫背ストレッチを行い、肩甲骨の動きを良くしていきます。

 

電流治療では首の後ろの筋肉の緊張を取り除き、ストレートネックの改善も狙っていきます。

 

また、院での治療に加えて、自宅でも肩甲骨を動かすストレッチや枕無しで寝て首への負担を減らすように指導しました。

<治療の目標設定>

・肩甲骨の動き、巻き肩、ストレートネックを改善させ、首、肩のしんどさを感じない日常を目指していきます。