1か月前に肩を痛め、痛みが再発したと来院された60代女性の改善事例

井波

 

患者情報:63歳 女性

 

【問診】

<お悩み>

首 シップ 女性

1か月前に物を取る際、手を上げたら右肩から背中に痛みを感じるようになった。

 

シップを張って過ごしているうちに少しずつ和らいでいたが、今朝伸びをした時に痛みが再発。

 

今後も繰り返したくはないと来院。

 

<患者様にお伺いしたこと>

Q, 楽な体勢、辛い体勢はありますか?

 

じっとしているのは問題ありません。

 

後ろを振り返ると電気が走るような痛みが出ます。

 

Q,寝違えることや、しびれの症状はありますか?

 

寝違えたりすることはこれまでありませんでした。

 

痺れもありません。

 

Q,これまで肩の痛みを感じたことはありましたか?

 

元々慢性的な肩こりはありました。

 

Q,今回の症状で、整形外科や整骨院等で治療を受けられましたか?

 

1か月前に首が痛かった時に整形でMRIを撮りましたが、異常ありませんでした。

 

治療という治療はなく、薬をもらい、シップを貼り様子を見ていました。

 

Q, どんな動作で痛みが出ますか?

 

首を動かす、すべての動きに痛みがあります。

 

中でも後ろを振り返る動作が一番痛いです。

 

肩ではなく、首を動かすと、肩から背中に痛みが出ます。

 

Q,具体的に、どこにどんな痛みが出ますか?

 

右の肩から肩甲骨の内側に、ダル重いような痛みが出ます。たまに鋭い痛みが走ったりもします。

 

【検査】

<動きの検査>

首の動きの検査

首を前に倒す動き、後ろに倒す動き、左右に倒す動き、回す動きすべての動作で痛みが出ました。

 

また、どの動作でも、肩甲骨付近(肩甲挙筋部~肩甲骨間)に痛ダルさがありました。

 

肩の動きの検査

肩を前後左右に動かす動作では異常は見られませんでした。

 

両手を横に広げて、反対の手首を掴みに行くリーチング動作では、右手を伸ばした際に左手首に届きませんでした。

 

<筋力テスト>

・首から肩にかけての筋力(三角筋、前胸筋、僧帽筋、小胸筋)をそれぞれ計りましたが、異常はありませんでした。

 

・体幹を支える深部の筋肉、インナーユニットの筋力は弱まっていました。

 

【検査結果から分かること】

上位交差性症候群の説明

<症状の分類>

患者様が訴えている痛みのポイントや、首の動作を行う際のみに起こる肩甲骨付近の痛みから、「頸椎椎間板症」の疑いがあります。

 

体幹を支えるインナーユニットの筋力が弱まり、さらに反対の手を掴みに行くリーチング動作の動きが悪いことにより、筋の負担が高くなっていることが考えられました。

 

この筋にかかる負担が高くなったことで、筋が硬くなり、背骨(頚椎)の中でクッションの役割をする椎間板への圧が増したことが、頚椎椎間板症の原因であることが疑われました。

 

<頚椎椎間板症の原因の分析>

上半身のバランスが悪くなり、いわゆる猫背の上位交差性症候群の状態によって、肩甲骨の動きが悪くなっています。

 

そのため、首の筋が肩甲骨の代わりとなって過剰に働いてしまう状態となっています。

 

その結果、筋が働きすぎて硬くなり、背骨(頸椎)にかかる圧力が増したことで椎間板に問題が起こり、その結果肩甲骨の痛み(関連痛)が出たと考えられました。

 

【施術計画】

<施術目標>

1か月前の、痛みが出ていなかった状態に戻すことを目標にしました。

<施術期間>

2~3週間の期間で、週2回程の通院ペースを提案しました。

<施術方針>

上半身の筋肉のバランスが崩れた状態(上位交差性症候群)を改善する為、小胸筋、前鋸筋、菱形筋、肩甲挙筋部の筋に対して、手技での施術を行っていきます。

 

また、頭が前に出てしまっている前方頭位の姿勢も見られたため、首の筋(後頭下筋、斜角筋)にも手技を行っていきます。

 

また、電気療法(EMS)では、肩甲骨の内側の筋(菱形筋)と胸の外側の筋(前鋸筋)に対して行っていきます。

 

日常動作では止まっている姿勢でいることが多い為、肩甲骨周辺の運動も指導しました。

 

ただし、日常生活での運動が足りない場合や、日常の負担が強い場合は院でのストレッチ施術を行っていきます。

 

【施術経過】

肩 整体

・初診終了時では、来院時の痛みの度合いを10とした時、10→4へと軽減しました。

 

後ろを振り返ることが楽になったと自覚もあり、動作時の痛みが極端によくなっていました。

 

・2回目~10回目までで、初診時の痛みはほぼ無くなってはいましたが、背中にある違和感のみが変化が見られませんでした。

 

そこで日常の負担を詳しくお伺いしたところ、お孫さんをよく抱っこすることが分かり、その都度悪くなっていることが判明しました。

 

そのため、お孫さんの抱っこを少なくし、自宅でのポールを使ったストレッチを行い、日常での負担をため込まないようにと指導をしたところ、17回目頃には背中の違和感もすっきりした状態へと大きな変化が見られました。

 

また、動きの改善と筋が緊張して硬くなっている状態も改善したところで、一旦様子を見ることになり、自宅でのセルフケアの実施とインナーユニットのトレーニング方法を伝え施術を終了しました。

 

【まとめ】

今回の患者様は、肩や肩甲骨内の痛みが長く引かなかったことで来院されました。

 

詳しく検査を行ったところ、痛みが肩ではなく首を動かした際に出ることや、上位交差性症候群という上半身の筋肉のバランスが悪い状態であること、更に肩甲骨の動きが悪いことや体幹を支える筋力が弱いことが分かりました。

 

これらのことから、患者様は「頚椎椎間板症」であることが疑われ、肩甲骨付近の痛みも、頚椎の椎間板が神経に触れることであらわれる、「関連痛」であると言えます。

 

この患者様の場合、「頚椎椎間板症」の原因は、上半身のバランスが悪いことで筋に過剰に負担がかかり、硬くなってしまっていることと、肩甲骨の動きが悪いことで首の筋が代わりになって働いてしまっていることで筋だけでなく頚椎にまで負担がかかった結果、椎間板への圧力が高まってしまったことが考えられました。

 

そのため、施術では筋の緊張をほぐしつつ、上半身のバランスを整え、肩甲骨の動きを改善していきました。

 

結果的に、痛み自体はおおよそ改善が見られましたが、普段の生活でのお孫さんとの触れ合いで負担が多かったことも判明し、背中の違和感が完全になくなるまで自宅でもセルフトレーニングを頑張ってもらいました。

 

完全に症状も改善し、体の機能も回復したことで施術を無事に終了しました。